歯周病

歯周病

歯周病や虫歯の原因となる歯垢(プラーク)は
たくさんの細菌がつくるバイオフィルムです。

歯垢(プラーク)はたくさんの種類の細菌がフィルム状(うすい膜状)になった集合体で、
歯と歯ぐきの境目や歯周ポケット内に強固に付き、歯ブラシ等では簡単には取り除けません。

  • 1. 歯周病の場合、バイオフィルムが歯の表面や歯周ポケット内に存在すると周囲に炎症が生じます。
    放っておくと、歯ぐきが腫れ出血し、膿が出てきて、歯周病が進行します。
    唾液等の働きにより、歯垢にカルシウムが沈着し石のように固まったものが歯石です。
    この歯石が歯周ポケット内にあると、歯周病を悪化させます。
    早めに除去し、健康な歯茎を取り戻しましょう。
  • 2. 歯石は除去しても12~16週(3~4ヶ月)もすればまた作られると言われています。
    ですから歯科医院にて歯科衛生士による専門的な機器器具を使った定期的な除去をお勧めします。

日本人は80歳で平均して
4~5本の歯しか残っていない事実をご存知ですか?

その歯の抜ける原因としては、むし歯と歯周病によるものが大多数を占めますが、近年その歯周病によるものが増えています!
歯周病の一番の原因はプラーク(歯垢)と呼ばれる物質です。
歯についた食べかすを栄養源にして、ほんの2、3分から数分で、口腔内細菌が増殖してプラークという細菌の塊に変化します。
それらが産出する酸、毒素や酵素によって歯周組織に炎症をおこし、歯周病となります。

  • これがプラークです!
  • 拡大すると細菌のかたまりです!

キャー!気持ち悪い~と悲鳴が聞こえてきそうですが、実はこれがプラーク(歯垢)!
ついつい食べかすと勘違いしてしまいますが、実は細菌の塊なんですね。
お口の中にこんな細菌が密集しているなんてびっくりですね。

歯周病は生活習慣病

歯周病は、今まで徐々に進行するといわれていました。
最近では、急に悪くなる時期(勃発期)と静止期を繰り返しながら進行していくことがわかっています。
そこで勃発期に感じる変化に十分注意し、早めに歯科医に相談し、治療を受けることが大切です。

歯周病の直接の原因はプラークがたまることからはじまります。
プラークは食べ物のなかの糖分と誰の口の中にもある細菌によってでき、プラークの90% 近くが細菌です。
また歯周病が進行してできる歯周ポケットの内側には、1mg(湿重量)あたり400種、1億個以上の細菌がいて体との間で、
免疫応答といわれる戦いが繰り広げられます。
抵抗力が弱まれば、全身にいろいろな症状があらわれてきます。
ですから歯周病を予防し、進行を防ぐには、まずプラークをためず、歯周病を進行させないことが大切です。

また生活習慣を改めることも、大きなポイントになります。

歯周病を悪くする原因

歯周病を悪くする原因は
1.歯周ポケットの中に隠れて見えない歯石喫煙
2.歯ぎしり、くいしばり

目で見えるところにつく歯石よりも、歯と歯ぐきの隙間に隠れて見えない歯周ポケットの中の歯石(歯肉緑下歯石)が歯周病を悪くします。

タバコを吸う人は、吸わない人よりも歯周病を引き起こしやすく悪化のスピードが早いため、治療してもなかなか改善しません。
ニコチンが血流を悪くするため歯ぐきに酸素や栄養が行き渡らず、歯ぐきの抵抗力が弱まってしまいます。

夜中の歯ぎしりやくいしばり、日中のくいしばり等は歯に大きな力が加わり、そのため歯を支えている骨が溶け出し、
歯周ポケットが深くなり歯周病が増悪します。専用のマウスピースが有効です。

出血は歯周病のサイン。
歯周ポケットの深さで進行の度合いがわかります。

歯周病がどれだけ進行しているかは、歯ぐきの状態をみればわかります。

歯ぐきからの出血は歯を支える歯ぐきに炎症がある証拠で、歯周病の特徴的な症状といえます。
炎症が進み、歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)が深くなると歯を支えているアゴの骨の一部である歯槽骨の破壊がはじまります。
歯周ポケットの深さが4mm以上になると症状はかなり進行しているといえます。
ポケットの中は歯周病菌が繁殖しやすい環境なのでどんどん増殖し、
歯周ポケットの深さが6mm以上になると歯槽骨の破壊がさらに進み、ついには歯が抜けてしまいます。

歯周病と全身疾患

歯や歯ぐきの健康は口の中だけでなく全身と関係しています。

口の中には何百種類という細菌が生息していますが、口から体の中に入り込むとさまざまな病気を引き起こすことが知られています。
たとえば心臓病、肺炎、糖尿病、早産などです。
歯周病は歯周病菌の塊である歯垢(プラーク)や歯石による歯ぐきの炎症ですが、たかが口の病気とあなどってはいけません。

肺炎

歯周病菌が肺に感染し肺炎になることがあります。

心臓病

重症になると歯周病菌による炎症から血栓(血の固まり)ができやすくなるため、動脈硬化を招き心筋梗塞や狭心症などを引き起こすことがあります。
また心臓の内側にある心内膜の炎症を引き起こし、細菌性心内膜炎になる場合もあります。

糖尿病

歯周病が糖尿病を引き起こすだけでなく、糖尿病の患者さんが歯周病にかかっていると血糖コントロールが難しくなり、さらに悪化してしまう可能性があります。

早産

歯周病菌による口内の炎症が胎児の成長に影響し早産を引き起こすことがあります。
歯周病の妊婦は、歯周病でない妊婦と比べて、早産や未熟児を出産する確率が7倍にもなるといわれています。

歯周病を毎日の生活の中で予防する方法

歯周病は生活改善で防ぐことができます。

1.毎日の歯みがき

毎回の食後30分以内の歯磨きをおススメします。

ご自宅でできる歯磨きのコツはこちら

2.毎日の食生活を見直す

規則正しく、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

丈夫な歯をつくるためのオススメ食品はこちら

3.歯の定期検診

歯の専門家による検診を受けることで、歯周病を予防しましょう。

4.ストレスをためない

ストレスは歯ぐきに悪い影響を与えるだけではなく、ストレス時におきる歯ぎしりは歯肉やあごの骨に負担をかけることにもなります。

5.たばこを吸い過ぎない

たばこの吸い過ぎは身体への悪影響はもちろんのこと、歯周病の進行を早める影響があることも確認されています。

丈夫な歯をつくるためのオススメ食品

健康な歯をつくるために

丈夫で健康な歯をつくるためにはいろいろな食品をバランスよく摂取する必要があります。
特に子どもにとっては一生の歯の健康の土台を作る時期でもありますので、栄養が偏らない工夫をしてあげることがとても大切です。

歯の土台の形成に必要な栄養素

歯の土台をつくる食品は・・・
良質なタンパク質が多く入った食品を。


肉・魚・大豆製品

歯のエナメル質の形成に必要な栄養素

エナメル質を仕上げる食品は・・・
ビタミンAが多く入った食品を。


うなぎ・レバー・卵・にんじん・ホウレンソウ

歯の象牙質の形成に必要な栄養素

歯の象牙質を多く仕上げる食品は・・・
ビタミンCが多く入った食品を。



パセリ・ピーマン・キャベツ・くだもの

カルシウムの代謝や石灰質を調節するのに必要な栄養素

カルシウムの代謝や石灰質を調整する食品は・・・
ビタミンDが多く入った食品を。


レバー・しらす干し・いわし

カルシウム・リン・石灰質の材料に必要な栄養素

カルシウム・リン・石灰質の材料になる食品は・・・


牛乳・小魚・海藻・卵黄

進行度チェック

あなたも歯周病にかかっているかも?進行度をチェックしましょう。

正常な歯ぐき

ひきしまった状態の歯ぐきです。
健康的な歯ぐきはピンク色で写真のような状態になります。
このような歯ぐきを目指して毎日の丁寧な歯ブラシを行いましょう!

↓

軽度の歯周病

歯肉が腫れている状態です。
歯と歯ぐきの間に隙間ができ、そこに歯垢・歯石がたまりやすくなり、
歯周病が進行しやすくなります。

↓

中等度の歯周病

歯肉はブヨブヨし、出血しやすくなります。
この状態になると、歯ぐきの歯槽骨が溶けはじめ、口臭がするようになります。
このような状態になったら、すぐにお近くの歯医者さんへ相談してください。

↓

重度の歯周病

ここまでくると、すでに歯の根が見えており、歯槽骨がほとんどなくなっている為、歯がグラグラし、いつ歯が抜け落ちてもおかしくない状態になります。

歯周外科治療の種類

私たちが歯周外科治療をおすすめする理由

歯周病は、現代人の生活スタイルから発生していると考えられます。
ここで紹介する治療法は歯ぐきの中や歯の周りをキレイな状態に戻します。
これをすることで、歯槽膿漏の予防をはじめ、もとどおりに食べ物をしっかり噛める状態になるのです。
また、失われた骨を再生できるので、抜歯の可能性を軽減できます。

歯肉・歯槽形態修正

歯肉を切開し歯根面の清掃(滑沢化も含めて)を行うとともに、歯槽骨整形を行い、
よりブラッシングしやすい環境とすることを目標に行います。

組織誘導再生療法(GTR法)
従来の歯周病治療法

歯の支持組織の破壊の程度により、治療方法は異なります。

もしも、病気がまだ初期の段階であれば、歯の表面を清掃することで、手術をしなくても組織の炎症をなくすことができます。
破壊が進んでしまい、深い歯周ポケットができている場合には外科手術によりプラークや歯石を取り除きます。
歯周ポケットを浅くし、感染した組織を取り除くことにより、清掃しやすい健康な歯になります。

しかし、歯の支持組織が元に回復したわけでなく、歯を機能的に支えることができるかどうかは確かではありません。
また、歯肉は本来の位置より低くなってしまうため、歯が長く見えるようになります。
最近まで、歯の支持組織を再生することはほとんどできませんでした。

歯周病の新しい治療法の誕生

歯周治療の最終目的は病気の進行を止め、元の健全な状態に組織を回復させることです。
1980年代の初頭に、歯を救う新しい治療方法の研究がスタートしました。
その結果、歯周病のまったく新しい治療方法として、歯の周りに必要な組織を再生させて、歯の支持構造をできるかぎり元の状態に戻すという再生法 (GTR法)が確立され、1990年代になってから世界中で広く応用されるようになりました。

あなた自身の生体再生能力を利用

歯周病で破壊された歯の支持組織(繊維組織や骨) は、その原因を除去すれば再生しようとします。
しかし、患部を清掃した後に何もせずそのまま治癒を待つと、必要な支持組織が再生する前に別の軟組織がそこに入り込み、うまく行きません。
そこで、ポケットの内部を清掃した後に、メンブレンを設置し、外からの不要な組織が侵入しないように防御します。
そうするとメンブレンの下には歯の支持組織が再生を始め、ゆっくりと成長していきます。

歯根分岐部の治療

大臼歯を中心とした多根歯は、各歯根間に分岐部があり、その位置と周囲の歯槽骨ならびに歯肉との関連から難治性の歯周病を発症することも多くみられます。
通常の歯肉・歯槽形態修正に加えて、歯根を部分的に抜去したり、分割したりすることで、プラークコントロールを容易にし歯全体を失うことなく機能の保存ができるような症例も多くみられます。

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